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30代 男性のご相談

手白癬ってどんな病気?

医師の回答

手白癬は、白癬菌(はくせんきん)というカビ(真菌)の一種が手に感染する病気です

〜手のひらのカサつき・皮むけ、それ「手の水虫」かも!?〜
手白癬は、白癬菌(はくせんきん)というカビ(真菌)の一種が手に感染する病気です。
主に白癬菌に感染した自らの足(水虫)や、白癬菌に感染した人や動物などに直接触れることで感染します。
手のひらに赤い発疹、ただれを伴う場合があり、通常は片手に症状がみられます。

手白癬(てはくせん)とは、白癬菌(はくせんきん)というカビ(真菌)の一種が手の皮膚に感染して起こる皮膚疾患です。
一般的には「手の水虫」と呼ばれることもあり、足の水虫(足白癬)ほど知られてはいませんが、決して珍しい病気ではありません。

実際には、足白癬や爪白癬をすでに持っている方が、手で患部を触ったり掻いたりしているうちに自分の手へ菌がうつってしまう「自己感染」によって発症するケースが非常に多く見られます。特に「片手だけに症状が出る」というのが手白癬の特徴の一つで、利き手側に多く見られます。

手白癬の症状には、手のひらの皮むけやガサガサした感触、ひび割れ、ごわつき、赤みを伴う発疹、指の間の皮むけなどがあります。
かゆみがあまり強くないため、手湿疹・主婦湿疹・乾燥肌などと見間違えられやすく、保湿剤や市販薬でなかなか改善しないまま放置されていることも少なくありません。
「右手だけ荒れる」「一部の皮膚だけガサガサが続く」というようなケースでは、手白癬の可能性を考えることが重要です。

感染の原因としては、自分の足の水虫や爪白癬からの自己感染のほか、家族に水虫がいる場合や、感染した人・動物との接触、ジム・プール・バスマットなどの共用物を介した間接感染も考えられます。
特に、高齢者、糖尿病のある方、スポーツや仕事などで汗をかきやすく手をよく使う方、皮膚バリアが弱っている方は感染しやすいため注意が必要です。

診断には、皮膚科での顕微鏡検査(真菌検査)が行われます。
皮膚の表面を軽くこすり取り、白癬菌の有無を調べるもので、数分で結果が分かり、痛みもありません。見た目だけでは判断が難しいため、市販薬や保湿剤で治らない手荒れがある場合は、早めに検査を受けることが確実です

治療は、抗真菌薬(カビに効く薬)による治療が基本となります。
軽症であれば塗り薬(外用薬)のみで治療可能ですが、広範囲に広がっている場合や、同時に爪白癬がある場合には内服薬(飲み薬)が使われることもあります。
治療期間は少なくとも1〜2か月以上
かかるため、医師の指示に従い、見た目が良くなっても自己判断で治療を中止しないことが大切です。

放置してしまうと、症状の再発や慢性化、爪白癬への進行、周囲の人への感染拡大(家庭・職場・スポーツ施設など)のリスクがあります。また、「湿疹」や「手荒れ」として誤ってステロイド外用薬を使い続けた場合、かえって悪化することもあるため要注意です。

 

 

✅ 治療に使われるお薬(保険適用)
基本は抗真菌薬の外用治療
爪白癬・広範囲感染がある場合には内服薬を併用することもあります。

◆ ①【外用抗真菌薬(塗り薬)】
テルビナフィン ラミシール®外用 殺菌力が強く、白癬菌に広く有効
ルリコナゾール ルリコン®クリーム・液 1日1回でOK/刺激が少ない
アモロルフィン アモバン® 特に角化型白癬に有効(角質浸透性が高い)
ブテナフィン メンタックス® 水虫外用薬として広く使われている
エフィナコナゾール クレナフィン® 爪白癬用だが、皮膚用にも応用されることあり

📌 外用薬は1日1~2回、患部とその周囲に塗布し、最低でも4週間以上の継続が必要です。

◆ ②【内服抗真菌薬(全身療法)】
テルビナフィン ラミシール®錠 爪白癬・足白癬が同時にある場合や重症例
イトラコナゾール イトリゾール® 上記と同様/特に爪白癬合併例に使用
ホスラブコナゾール ネイリン® 爪白癬用/同時治療が望ましい場合に使うことも

📌 内服時は肝機能検査が定期的に必要になります。

 🔬 病院で何を調べるの?

  • 真菌検査(顕微鏡・培養):白癬菌の有無を確認
  • 両手 or 片手?(片手だけなら白癬が疑われやすい)
  • 足の水虫があるかどうか(「両足・片手型」は典型的パターン)
  • 発症のきっかけ・仕事や生活習慣の確認

  ⇒手の皮がむけてカサカサ+片手だけ症状があるなら、手白癬の可能性あり!

 

🔍 手白癬と間違えやすい類似疾患(見分けポイント付き)

 手湿疹(主婦湿疹)

⇒乾燥・赤み・ひび割れ・かゆみ 左右対称が多い/水仕事が原因/カビはいない

 掌蹠膿疱症

⇒手のひらや足裏に膿をもった小さな水疱 かゆみより痛み/関節痛を伴うことも/慢性的に再発

 凍瘡(しもやけ)

⇒冬の寒さで赤く腫れたり、かゆくなる 季節性あり(冬に悪化)/左右対称/水ぶくれ少なめ

 接触皮膚炎(かぶれ)

⇒洗剤・金属・植物などに触れて赤くかぶれる 原因に心当たりあり/かゆみ強め/保湿で改善することも

 薬疹

⇒薬を飲んだ後に手に発疹や赤みが出る 他の部位にも発疹あり/急に出現/薬歴がカギ

 神経皮膚炎(ストレス性)

⇒掻きすぎて皮膚が厚くなる 境界がくっきり/円形の厚み/かゆみ強め

 疥癬(かいせん)

⇒ダニが皮膚にすみつき強いかゆみを起こす 夜に強いかゆみ/指間や手首にも症状/家族にも感染しやすい

予防のポイント
足や手は毎日清潔に保ち、洗った後はしっかり乾かすようにしましょう。
足白癬や爪白癬がある場合は、手と同時に治療することが再感染予防につながります。
バスマットやスリッパ、タオルなどはできるだけ清潔に保ち、家族間での共用は避けるようにしましょう。

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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