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40代 男性のご相談

鶏眼(けいがん)・胼胝(べんち)ってなに?

医師の回答

うおのめ(鶏眼)・たこ(胼胝)は、皮ふが繰り返し圧迫やこすれを受けることで、角質が厚く硬くなった状態です。 どちらも足の裏・指・手のひらなどにできやすく、見た目は似ていても治療法が異なることもあります。

〜足のうらに硬いできもの、それ「うおのめ・たこ」かもしれません〜

 

うおのめ(鶏眼)は、角質の中心に半透明で硬い「芯」ができるのが特徴です。この芯が歩行時に圧迫されると強い痛みを感じます。特に靴が合わない場合や足の変形(外反母趾など)によって、指の上や小指の下、足底の荷重がかかる部位に多く見られます。芯が骨に向かって食い込むことで、立ったり歩いたりするだけでもズキッとした痛みが出ることがあります。

一方、たこ(胼胝)は芯がなく、皮膚の表面が広く厚く硬くなった状態で、通常は痛みが少ないのが特徴です。たこのできる場所によって、指なら「ペンだこ」、足なら「足擦れだこ」、くるぶしなら「座りだこ」などと呼ばれることもあります。圧迫しても強い痛みはありませんが、放置して角質が厚くなりすぎると、ひび割れや出血の原因になることがあります。

これらができる原因は、皮膚の防御反応によるものです。サイズの合わない靴や硬い靴、ハイヒール、同じ部分に体重がかかる歩き方、偏平足や外反母趾などの足の構造的な問題が原因となります。また、スポーツや楽器の演奏、家事や手仕事など手足を頻繁に使う人も発症しやすく、特に長時間立ち仕事をする方や高齢者では皮膚が乾燥しやすく、より硬くなりやすい傾向があります。

うおのめやたこは、軽度であれば自宅でのスキンケアや靴の見直しなどで対応可能ですが、痛みが強い場合や再発をくり返す場合には皮膚科での治療が必要です。うおのめに対しては、専門の器具(メスやドリルなど)を用いて芯を削る処置や、サリチル酸入りの外用薬で角質を柔らかくする治療が行われます。また、患部にかかる圧力を分散させるためのパッドやインソールの使用、靴の調整も重要です。たこに対しては、厚くなった角質を除去しつつ、摩擦や圧迫の原因を取り除く工夫を行います。靴や中敷きの見直し、日常生活の中で足にかかる負担の軽減が再発防止につながります。

注意すべき点は、自己判断で市販のカッターやヤスリなどで削ってしまうことです。これは感染や出血、炎症の原因となることがあり、非常に危険です。必ず医療機関で適切な処置を受けるようにしましょう。

予防としては、足に合った靴を選ぶことが何より大切です。サイズが合っていて、かかとや足先が締め付けられない靴を選びましょう。クッション性のある中敷きや足底パッドを活用し、歩き方や姿勢のクセを見直すことも重要です。また、入浴後の保湿ケアで皮膚を柔らかく保つことも効果的です。

「うおのめを削ってもすぐ再発する」「歩くたびに痛い」「芯がどんどん深くなってきた」などの症状がある場合は、放置せず早めに皮膚科を受診しましょう。

✅ 治療に使われるお薬(自宅・皮膚科共通)
① 【角質を柔らかくして除去する外用薬】
▶ サリチル酸(角質溶解成分)

スピール膏(市販・処方両方あり) サリチル酸を含んだ絆創膏 中心部に薬剤がついていて患部に貼る
イボコロリ(市販) 液体タイプのサリチル酸外用薬 塗って乾かすタイプ
ウオノメコロリ 絆創膏+サリチル酸の併用製品 密着性高い

🔸 数日間の使用後、角質が白くふやけて柔らかくなったところをぬるま湯でふやかし、やすりや爪切りで除去。

② 【痛みが強い・感染している場合】
基本的にはサリチル酸外用で改善可能ですが、痛みが強い場合は皮膚科での芯の削除(専門的な除去)が必要です。

二次感染がある場合は、抗菌薬の外用薬や内服薬を処方されることもあります。

「もしかして うおのめ・たこ かも…」と思ったら?
自分で判断せずに皮ふ科へ相談を!
当院では、スマホで受けられるオンライン診療も対応しています
症状の確認からお薬の処方まで、自宅から気軽にご相談ください

  🩺病院で何を調べるの?

必要に応じて検査をします

・通常は視診で診断できますが、以下のような場合は検査を行うこともあります

 ウイルス性いぼとの鑑別 → ダーモスコピー(拡大鏡)で血管の有無を確認

 痛みの原因精査 → レントゲンで骨の出っ張り(骨棘など)を確認することもある

 フットプリント検査(足底圧分布検査)で圧のかかり方を調べる(整形外科的評価)

 

 鶏眼・胼胝と間違えやすい類似疾患

1. ウイルス性いぼ(足底疣贅/そくていゆうぜい)
  • 原因:ヒトパピローマウイルス(HPV)
  • 特徴
    • 足の裏にできやすく、硬い角質で覆われている
    • 押すと痛い(うおのめと似る)
    • 表面を削ると小さな出血点(黒い点)が見えることも
  • 違い
    • 感染性がある
    • 自然に治ることもあるが、液体窒素などの治療が必要なことも
  • 誤ってうおのめと自己判断し放置されやすい

2. 粉瘤(アテローム)
  • 原因:皮膚の毛穴に角質がたまってできる良性腫瘍
  • 特徴
    • 皮膚の下にコリコリとしたしこり
    • 赤く腫れて痛みが出ることも
  • 違い
    • 表面の皮膚は普通で、角質が詰まっている
    • 押すと内容物(白いかす)が出ることもある
    • 足裏や手のひらにはできにくいが、時に誤認される

3. 魚の目に似た胼胝化した皮膚腫瘍(まれ)
  • :皮膚角化型の皮膚がん(Bowen病、扁平上皮癌など)
  • 違い
    • 見た目が硬い「たこ」に似ることがあり注意
    • 長期間変化しない・出血する・広がる場合は注意
    • 高齢者の足底や手のひらにできた「たこ」は要注意

4. 滑液包炎(すべりえきほうえん)
  • 原因:関節の圧迫や摩擦で関節付近にできる炎症
  • 違い
    • 鶏眼やたこと異なり、関節に近い部位に「柔らかい腫れ」
    • 赤みや熱感、動かすと痛むことがある
    • 足の指の付け根などにもできる

予防のポイント

◆足に合った靴を選ぶ

⇒つま先に余裕があり、かかとがしっかりフィットするもの

⇒ヒールや硬い靴底はできるだけ避ける

◆長時間の立ち仕事・歩行時はクッション性のある靴を選ぶ

インソール・パッドを活用

⇒足底圧を分散させる専用パッドやクッション材を使う

◆足の清潔と保湿を心がける

⇒入浴後に保湿ケアをして角質を柔らかく保つ

⇒乾燥・ひび割れがあると角質が厚くなりやすい

◆同じ靴を毎日履き続けない

⇒靴の内部が湿って硬くなりやすいため、複数の靴をローテーション

◆足の形や歩き方をチェック

⇒外反母趾・偏平足・O脚などがある場合、整形外科や靴屋で相談を

◆正しい姿勢・歩き方を意識する

⇒片足重心や足の外側ばかりに力がかかる歩き方を見直す

◆足の爪を正しくカットする

⇒長すぎ・短すぎは指の負担や歩行異常の原因に

◆自分で削りすぎない

⇒厚くなった角質を無理に削ると、逆に悪化・感染の原因に

異常があれば早めに皮膚科へ相談

「うおのめかな?」と自己判断せず、いぼとの鑑別も重要

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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