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30代 女性のご相談

汗疱(異汗性湿疹)ってどんな病気?

医師の回答

手のひらや足の裏、指の周囲などに小さな水ぶくれが突然現れる皮膚のトラブルです。水ぶくれは2〜5mm程度と小さく、潰れると皮がむけてガサガサになります。多くの場合、かゆみを伴いますが痛みはほとんどありません。春から夏にかけて症状が悪化しやすく、何度もくり返すのが特徴です。

〜手のひらや足のうらに小さな水ぶくれ…それ、汗のトラブルかもしれません〜

汗疱(かんぽう)とは、主に手のひらや足の裏、指の側面や股などに、2〜5mmほどの小さな水ぶくれが突然できる皮膚の病気です。水ぶくれは透明〜白く濁っており、強いかゆみを伴うことが多いですが、痛みはほとんどありません。潰れると皮がむけてガサガサになり、見た目にも不快です。

この症状は春から夏の高温多湿な時期に悪化しやすく、何度もくり返すのが特徴です。特に小児から思春期、そして20〜40代の女性に多く見られます。

汗疱の症状と経過

汗疱の主な症状は、手のひら・足の裏・指の間や側面に小さな水ぶくれができることです。これらは左右対称に出ることが多く、見た目は米粒より小さなぷつぷつしたものです。

水ぶくれが潰れると皮がめくれ、乾燥してガサガサになります。かゆみが強いために掻き壊してしまうと、皮ふがただれて“異汗性湿疹”と呼ばれる湿疹状態になり、ジュクジュクしたり痛みが出ることもあります。

秋冬になると一旦落ち着くこともありますが、翌年また再発するケースが多いため、慢性的な肌トラブルとして悩んでいる方も少なくありません。

汗疱の治療法

汗疱は症状や重症度に応じて、以下のような治療が行われます。

  •  ステロイド外用薬(塗り薬):炎症やかゆみを抑える。症状に合わせて強さを調整。

  •  抗ヒスタミン薬の内服:かゆみが強い場合に有効。

  •  冷却・乾燥ケア:汗をこもらせず、こすらないケアが大切。

  •  塩化アルミニウム外用薬:再発をくり返す場合、汗を抑える薬を使用。

  •  光線療法やJAK阻害薬(重症例):皮膚科での専門的治療が必要です。

◆ 汗疱に使われるお薬
① 【外用薬(塗り薬)】
 ・ステロイド外用薬(炎症・かゆみを抑える)※基本治療

Very Strong  モメタゾンフランカルボン酸 フルメタ など
Very Strong  ベタメタゾン酪酸  アンテベートなど
Strong      ベタメタゾン吉草酸  リンデロン-V など

 ・補助的に使う外用薬

ヘパリン類似物質(ヒルドイドなど) 乾燥やひび割れの保湿・再発予防
ウレパール・パスタロン 皮むけ・角化が強いとき(ただし刺激注意)

② 【内服薬】
・ 抗ヒスタミン薬(かゆみ止め)
フェキソフェナジン(アレグラ)

レボセチリジン(ザイザル)

オロパタジン(アレロック)など

・ 金属アレルギーが疑われる場合
金属除去目的の食事療法・パッチテスト

トラブルが明確な場合、皮膚科で検査・指導

③ 【再発例・難治例への追加治療】

ステロイドテープ エクラープラスター:患部に密着させて効果を持続
PUVA療法 光線療法(紫外線+感光剤)で炎症を抑える
イオントフォレーシス 微弱電流を皮膚に流し、汗腺の働きを調節(手掌多汗症の治療にも)
JAK阻害薬(重症例) デルゴシチニブ(コレクチム)など(オフラベル使用あり)

こんなときは皮膚科に相談を

  • 毎年くり返す汗疱で悩んでいる

  • 市販薬で良くならない

  • かゆみがひどくて夜も眠れない

  • 湿疹やただれが広がってきた

このような場合は、皮膚科専門医の診察が必要です。症状に合った治療を受けることで、つらいかゆみや再発を抑えることができます。

 ◇ 汗疱と間違えやすい病気(鑑別疾患)

手湿疹(主婦湿疹)

⇒手全体にカサカサ・ひび割れ・かゆみ 水ぶくれよりも乾燥とひび割れが中心/手荒れや水仕事がきっかけに

白癬(足の水虫)

⇒足の裏や指の間にジュクジュク・皮むけ・かゆみ 真菌検査(KOH検査)でカビが検出/かゆみが強く慢性化しやすい

 接触皮膚炎

⇒アレルギー物質・刺激で皮膚に赤み・水ぶくれ 原因物質がはっきりしている/範囲がくっきりしていることも

膿痂疹(とびひ)

⇒水ぶくれが破れてかさぶたに/子どもに多い 細菌感染が原因/うつることも

汗疹(あせも)

⇒細かい赤いブツブツ/かゆみ中心 背中・首に多く、手足にはあまり出ない/赤くかゆいが水疱は少ない

掌蹠膿疱症

⇒手のひらや足の裏にうみをもったしこりが出る 繰り返し膿疱が出現/関節症状を伴うことも

 

予防のポイント

保湿と清潔を心がける:洗浄後はしっかり保湿
洗剤や刺激物は手袋でガード:水仕事や掃除のとき
汗をかいたらすぐに拭いて乾燥
ストレスをためない生活:睡眠・休養も大事
金属アレルギーのある人は食事に注意(チョコ・紅茶・豆類などニッケルを含む食品)

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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