
30代 男性のご相談
おでき・吹き出物【せつ、よう】ってどんな病気?

医師の回答
おできは、癤(せつ)とも呼ばれています。癤が複数集まると癰(よう)になります。
癤は、毛包炎(もうほうえん)または毛嚢炎(もうのうえん)が進行したもので、毛穴に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの細菌が感染することで引き起こされる病気です。 毛穴に一致した赤い発疹[紅斑(こうはん)]が痛みと熱をもってはれあがります。数日から数週で膿(うみ)が溜まった状態となり、膿が出ると症状が改善されますが、小さな傷跡を残します。 毛包炎または毛嚢炎は、毛穴の浅い部分に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などが感染することで炎症が起こる病気です。 顔や背中などの毛が生えている部位に生じやすく、毛穴に一致した赤い発疹[紅斑(こうはん)]や膿が溜まった状態[膿疱(のうほう)]があらわれ、かゆみや軽い痛みを伴います。発疹は数日で跡を残さずなくなります。進行すると、癤や廱になります。再発を繰り返すことが多くあります。 癰は、癤が悪化して複数の毛穴に細菌が感染することで引き起こされる病気です。赤い発疹が半球状に大きくはれあがり、強い痛みと発熱、倦怠感などがあらわれます。膿が出ると症状が改善され、2~4週間で治ります。 年齢や性別に関係なく発症する可能性がありますが、糖尿病や免疫機能の低下している患者さんほど重症化しやすいといわれています。


◆おでき・吹き出物(せつ・よう)ってなに?🔥
〜赤くて痛いできもの、それ「毛穴にばい菌」が入ったサインかも〜
💡おでき・せつ・ようってなに?
「おでき」や「吹き出物(できもの)」は、毛穴の中にばい菌(主に黄色ブドウ球菌)が入り、炎症を起こした状態です。
せつ(癤):毛穴1つに炎症が起きた状態(小さめのおでき)
よう(癰):せつが複数合体して、大きく深く腫れた状態(重症のおでき)
見た目は赤くてぷっくり腫れており、押すと痛い・熱っぽい・うみがたまることもあります。
📍どこにできるの?(症状の場所)
🧑🦰 顔(鼻・あご・ほほ)
🧑🏫 首すじ・うなじ
🧍♂️ わき・太もも・おしり
🧍♀️ 背中・胸元 など
👉 毛が生えているところなら全身どこでもできる可能性があります!
🧫どうしてできるの?(原因)
「毛穴の中にばい菌が入ること」がきっかけです。
その原因としては:
🧼 汗や皮脂が多い
🪒 カミソリ負け・ひげ剃りなどで肌に傷がつく
🤲 手で触る・ひっかく・つぶす
👚 通気性が悪い服やムレ
😴 免疫力が下がっている(疲れ・寝不足・糖尿病など)
👶どんな人がなりやすいの?(体質・生活習慣)
✅ 思春期〜大人(皮脂分泌が多い)
✅ 男性にやや多め
✅ カミソリ・脱毛・圧迫が多い部位(おしり・うなじなど)
✅ 汗をよくかく人、衛生状態が悪い環境の人
✅ 糖尿病や免疫力が下がっている人
🕒いつ・どうやって悪化する?
おできは最初、小さな赤い腫れとして現れますが…
🚨 数日でどんどん大きく・痛く・熱くなり、
💥 最終的に真ん中がやぶれてうみが出てくることもあります。
👂「耳たぶの裏」や「おしり」のおできは特に痛いです!
💊どうやって治すの?(治療方法)
おでき・せつ・ようは、自然に治ることもありますが、
悪化すると皮膚の奥まで感染して重症化することも⚠️
基本の治療は:
🧴 抗菌薬の塗り薬(外用薬)
💊 内服の抗生物質(広がりがあるとき)
💉 うみがたまっている場合は切開・排膿処置
🛑 無理につぶすのはNG!炎症が悪化します。
✅予防・セルフケアのポイント
🧼 毎日清潔にして、汗や皮脂をためない
🚿 入浴や洗顔のときにやさしく洗う(こすらない)
🪒 カミソリは清潔に。肌に負担をかけない
🧘♀️ 疲れやストレスをためず、免疫力をキープ
🧥 通気性のよい服を着る
📱おできが大きくなる前に皮ふ科へ!
「痛みが強い」「うみが出そう」「治りにくい」と感じたら、
皮ふ科での診察・処置が必要なサインです!
当院では、スマホから受けられるオンライン診療も対応しています📲
症状を見て、必要な治療や薬の処方を行えますので、
「これってただのニキビ?」「おでき?よう?」と悩んだら、まずはご相談ください。
✅ おでき・せつ・よう に使われるお薬一覧
① 【外用薬(塗り薬)】
▶ 抗菌薬外用剤
皮膚の表面の細菌増殖を抑え、軽症例や補助的に使用します。
薬剤名 商品名の例 備考
ゲンタマイシン ゲンタシン軟膏 黄色ブドウ球菌に有効
フシジン酸 フシジンレオ軟膏 欧州で広く使用、日本でも選択肢
ナジフロキサシン アクアチムクリーム ニキビにも使用される
リンデロンVG ステロイド+抗菌薬 炎症と感染が混在しているときに短期使用
② 【内服薬(飲み薬)】
▶ 抗生物質(抗菌薬)
中等症以上の「せつ」「よう」、または繰り返す場合、内服抗菌薬が中心治療になります。
一般名 商品名の例 用途
セファレキシン ケフレックス 第一選択、ブドウ球菌に有効
クラリスロマイシン クラリス 抗炎症作用もある
アモキシシリン+クラブラン酸 オーグメンチン 抗菌スペクトル広く重症例に
ミノサイクリン ミノマイシン ニキビ+せつの場合によく使われる
ST合剤(スルファメトキサゾール+トリメトプリム) バクタ MRSAリスクがあるときなどに使用されることも
③ 【その他の治療薬】
▶ 解熱鎮痛薬(痛み・腫れの緩和に)
アセトアミノフェン(カロナール)
ロキソプロフェン(ロキソニン)
▶ 消毒薬(補助的)
クロルヘキシジン(ヒビテンなど)
イソジン(ポビドンヨード)など
🔴 「おでき」や「吹き出物」だと思っていたら…ちがう病気かも?
痛みのある赤いふくらみ
膿がたまっている
しこりがどんどん大きくなる…
これらは、いわゆる「おでき(せつ・よう)」と呼ばれるものですが、似ていても治療法が異なる病気がたくさんあります⚠️
💡 せつ・ようってどんな病気?
内容 説明
🩺 医学用語 「せつ」=毛穴の浅い感染、「よう」=もっと深い感染で大きく腫れる状態
原因菌 主に 黄色ブドウ球菌(皮膚にいる常在菌)
好発部位 顔、首、太もも、お尻、わき など
主な症状 赤く腫れて熱を持ち、中心に膿がたまる/痛みが強いことも
よくある人 体力が落ちている人、糖尿病のある人、皮膚をよく触る人など
👀 おでき・吹き出物に似た病気(鑑別疾患)
疾患名 特徴 せつ・ようとの違いポイント
🧬 にきび(尋常性ざ瘡) 思春期~若年に多い/顔や背中などにできる 膿を持っても痛みは軽め/毛穴のつまりが原因
🧫 表在性膿痂疹(とびひ) 子どもに多い/水ぶくれがやぶれてかさぶたに 1カ所だけでなく広がる/触れるとうつることも
🔥 蜂窩織炎(ほうかしきえん) 皮膚の深いところまで感染/高熱が出ることも 境界が不明瞭に赤く広がる/全身症状あり
🌡 化膿性汗腺炎(あせもとは別) わきやおしりなどに痛みを伴うしこりが繰り返す 慢性化しやすく瘢痕(あと)が残りやすい
🧴 アテローム(粉瘤) 毛穴に皮脂がたまってできるしこり ふだんは痛くないが、感染するとおできに似る
🧠 悪性腫瘍(皮膚がん) 長期間治らない/硬くて変形するしこり 繰り返す、治療しても再発する時は注意
🩺 皮膚科での治療法
治療内容 状況に応じて使い分けます
💊 抗菌薬(塗り薬/飲み薬) 細菌をおさえて炎症を治します
💉 切開排膿 膿がたまっている場合は、切開して出す処置が必要なことも
🧊 冷却・安静 初期には冷やすことで悪化を防ぐことがあります
🧪 糖尿病・免疫検査 繰り返す場合は体質や基礎疾患を調べることも
⚠️ 放っておかないで!こんなときは皮膚科へ
🔥 赤み・腫れ・痛みがどんどん広がってきた
🤒 熱が出てきた・体がだるい
🩹 繰り返し「おでき」ができる(年に何回も)
❌ 自分でつぶしたら悪化してしまった
⏳ 2週間以上たっても治らない/かえって大きくなった
→ それ、ただの「おでき」ではないかもしれません!
💬 よくある質問(Q&A)
Q. 市販の塗り薬で治りますか?
✅ 初期なら治ることもありますが、膿がたまった場合は薬だけでは治りません。
Q. おできができたら、つぶしてもいいの?
❌ NGです!菌が広がってしまい、蜂窩織炎や敗血症につながることも⚠️
https://www.merckmanuals.com/professional/dermatologic-disorders/bacterial-skin-infections/furuncles-and-carbuncles?utm_source=chatgpt.com
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK513141/?utm_source=chatgpt.com
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/boils-and-carbuncles/diagnosis-treatment/drc-20353776?utm_source=chatgpt.com
https://medicalguidelines.msf.org/en/viewport/CG/english/furuncles-and-carbuncles-16689669.html?utm_source=chatgpt.com
https://dermnetnz.org/topics/boil?utm_source=chatgpt.com
日本皮膚科学会「皮膚の感染症」
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa13/q01.html
鑑別疾患としての参考資料
にきび(尋常性ざ瘡)|日本皮膚科学会
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa13/q02.html
→ にきびとせつの違いに関する情報あり。
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa3/q02.html