リアクティブ療法と
プロアクティブ療法


アトピー性皮膚炎の治療では、まず急性の炎症を抑え、皮膚が見た目に正常な状態に戻る「寛解」を目指します。しかし、見た目が良くなっても皮膚の内部には炎症細胞が残っていることがあり、この状態で治療を中断すると、症状が再び現れやすくなります。
従来の「リアクティブ療法」では、症状が現れたときのみに薬を使い、症状が落ち着いたら治療をやめるという方法が主流でした。この方法は、比較的安定している部位には適していますが、再燃しやすい部位や慢性化した部位では、皮膚の状態を維持するのが難しいとされています。
これに対し、近年主流となっているのが「プロアクティブ療法」です。
これは、炎症が見た目におさまったあとも、ステロイドやタクロリムスなどの外用薬を決まった間隔で使い続けることで、皮膚の奥に残る“目に見えない炎症”を抑え、再発を防ぐ治療法です。また、保湿剤によるスキンケアも毎日継続することが推奨されます。
プロアクティブ療法を始める目安は、かゆみや赤み、ざらつきがほぼなくなり、触っても違和感のない「十分に寛解した状態」であることが望まれます。そのうえで、塗る頻度や使用量、塗る範囲は医師と相談しながら段階的に調整していきます。
治療は大きく3つのステージ(寛解導入期・寛解維持期・寛解維持期後半)に分かれており、それぞれの段階に応じて薬の使い方を変えていきます。