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30代 女性のご相談

クインケ浮腫ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ のど・舌・喉頭の腫れ(声が出しにくい、飲み込みにくい、息苦しい)
◻︎ 数分〜数時間で急に広がるむくみ(まぶた・口唇・舌・手足など)
◻︎ かゆみが乏しく、灼熱感や圧迫感だけが強い腫れ
◻︎ 繰り返し同様の腫れが起こる/家族にも似た症状がある
◻︎ 高血圧薬のACE阻害薬を内服中に起きた腫れ

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談

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医師の回答

クインケ浮腫は、突然まぶたや口唇などがむくむ病気です。

まぶたやくちびるが突然パンッと腫れた?
それ、「クインケ浮腫」かも!?

クインケ浮腫は、突然まぶたや口唇などがむくむ病気です。 原因は特定できないことが多く、ストレスや疲労が発症要因になりやすいといわれています。 突然むくみだけがあらわれ、2~5日間持続します。通常、かゆみを伴わず灼熱感を伴う場合があります。 まぶた、口唇、舌、手足にあらわれやすいのが特徴です。

D.Aさん

朝、片側の唇が急に腫れて熱っぽいのにかゆみはなく、数時間でまぶたまで広がりました。虫刺されと思っていたのですが、話しづらさも出てきて不安に。かゆみはないのに腫れる点がこれまでの皮膚トラブルと違っていました。

オンラインで皮膚科に相談すると、クインケ浮腫の可能性と、のどの違和感が出たら救急へという目安を教わりました。食べ物や薬、疲労などの誘因を振り返り、再発時も早めに相談することを心がけています。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

数分〜数時間で急にむくみが広がる

かゆみは乏しく灼熱感や圧迫感がある

まぶた/口唇/舌/手足などに出やすい(左右非対称も)

02

経過・持続

むくみが2〜5日続くことがある

同様の腫れを繰り返す

03

随伴症状・背景

声が出しにくい/飲み込みづらい/息苦しい

食物・薬・虫刺され・花粉・動物などの誘因が思い当たる

ACE阻害薬内服や家族歴がある

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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クインケ浮腫とは?

クインケ浮腫(くいんけふしゅ)とは、まぶたやくちびる、顔、手足、のどなどの皮膚や粘膜の下に突然むくみが現れる病気で、医学的には「血管性浮腫(けっかんせいふしゅ)」とも呼ばれています。数分から数時間のうちに急に腫れが広がるのが特徴で、場合によっては数日間持続します。かゆみを伴わず、腫れた部分に熱感や圧迫感、灼熱感を感じることがあり、ときには痛みとまちがえられることもあります。特にまぶたや唇、舌、のど、手足にあらわれやすく、左右非対称または片側だけに腫れることもあります。

この病気の発症は突発的で、原因がはっきりしない(特発性)ことも多くありますが、大きく分けて「アレルギー性(ヒスタミン型)」と「非アレルギー性(ブラジキニン型)」の2つのタイプに分類されます。アレルギー性の場合は、特定の食べ物(エビ・ナッツ・小麦など)、薬剤(抗生物質、解熱鎮痛剤など)、ハチ刺され、動物、花粉といったアレルゲンが引き金になることがあります。一方、非アレルギー性のものでは、高血圧治療に使われる「ACE阻害薬」による副作用や、遺伝的に補体C1インヒビターというたんぱく質が欠損する「遺伝性血管性浮腫(HAE)」などが原因になります。

どちらの型も、血管から体液が皮膚の下にしみ出すことで腫れを引き起こします。中でも注意が必要なのは、舌や喉、咽頭・喉頭といった気道周辺が腫れてしまう場合です。このようなケースでは呼吸困難や窒息のリスクがあり、救急対応が必要な緊急疾患とされています。腫れが顔だけに限られている場合は自然に改善することもありますが、呼吸や飲み込みに違和感を感じたときは、ためらわずに医療機関を受診してください。

治療は原因に応じて異なります。アレルギー性のクインケ浮腫には、抗ヒスタミン薬やステロイドの内服・点滴が用いられ、重症時にはアドレナリン(エピペン)の注射が必要になることもあります。非アレルギー性では、ACE阻害薬を中止することが第一で、遺伝性血管性浮腫の場合にはC1インヒビター製剤やブラジキニン関連の治療薬が使われます。いずれのタイプでも、気道に腫れが及ぶ場合には入院や呼吸管理が必要になることがあります。

特に注意すべきなのは、「虫刺されかと思っていたが、全くかゆみがない」「腫れが何度も繰り返す」「腫れとともにのどが苦しくなってきた」といったケースです。これらの症状が見られる場合は、早期に皮膚科や内科、または救急科を受診することが重要です。また、クインケ浮腫は再発しやすい傾向があるため、原因が特定できた場合にはアレルゲンや誘因薬を避ける生活指導が必要になります。家族に同様の病歴がある場合には、遺伝性の可能性を考慮して専門医による精密検査を受けることもあります。

突然の顔のむくみや、声が出しにくい、のどが狭く感じるといった症状が現れたとき、「そのうち治るだろう」と放置せず、早めの医療相談が大切です。とくに唇やまぶたがパンパンに腫れた、のどが苦しいといった症状は、クインケ浮腫のサインかもしれません。

応急処置(今日できること)

応急対応は疾患により異なります。自己判断の処置は避け、症状が強い/拡大する/痛む場合は医師に相談してください。

一般的なクインケ浮腫治療

① アレルギー性クインケ浮腫(ヒスタミン性)の治療薬
● 抗ヒスタミン薬(第一選択)

フェキソフェナジン アレグラ 第2世代。眠気少ない
オロパタジン アレロック 効果強め、眠気に注意
レボセチリジン ザイザル 小児にも使用可
ヒドロキシジン(第1世代) アタラックスP 急性期に注射で使用されることも

● ステロイド薬(重症例や喉頭浮腫のリスクありの場合)

プレドニゾロン(内服) 急性期に短期で使用
ヒドロコルチゾン(注射) 緊急時に静注対応も

● アドレナリン(緊急時)

アナフィラキシーショック併発 エピペン(筋注)などを緊急使用

✅ ② 非アレルギー性クインケ浮腫(遺伝性など)の治療薬
※ 抗ヒスタミン・ステロイドは無効
※ 補体(C1インヒビター)関連の治療が必要です

● 急性発作時の治療薬(保険適用あり)

C1インヒビター製剤 ベリナートP静注 日本で使用可能な唯一のC1-INH補充薬(静注)
ブラジキニンB2受容体拮抗薬 イカチバント(Firazyr) 海外承認済。国内未承認(2025年時点)

● 発作予防薬(再発の多い遺伝性血管性浮腫に)

アンドロゲン誘導体(ダナゾールなど) 発作頻度を抑制(長期予防に)※副作用に注意
トラネキサム酸 抗線溶薬として補助的に使用されることあり

病院で何を調べるの?

視診・問診:腫れの場所・経過・既往歴 アレルギーか非アレルギーかの見極め
血液検査(C4・C1インヒビターなど): 補体系の評価 遺伝性血管性浮腫(HAE)の診断
アレルギー検査(IgEなど):アレルゲンの特定 ヒスタミン型かどうか確認
薬剤確認:高血圧薬やNSAIDsの服用歴 薬剤誘発型の可能性を検討
内視鏡・バイタル確認:喉頭の腫れ・呼吸状態の把握 緊急対応が必要か判断

「クインケ浮腫」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

じんましん(蕁麻疹)

表面が赤く盛り上がって強いかゆみ クインケ浮腫はもっと深部が腫れ、かゆみが少ない

接触皮膚炎(かぶれ)

何かに触れた部分に赤み・ブツブツ・かゆみ 腫れよりかゆみが強い/時間をかけて出てくる

感染による腫れ(蜂窩織炎など)

痛み・熱感・赤み・発熱を伴う 徐々に悪化/抗菌薬が必要なことも

遺伝性血管性浮腫(HAE)

クインケ浮腫の特殊型/補体という体の免疫異常による 家族歴あり/呼吸困難や腹痛が主症状の場合も/ステロイドが効きにくい

クインケ浮腫の特徴をチェック!

◻︎ のど・舌・喉頭の腫れ(声が出しにくい、飲み込みにくい、息苦しい)
◻︎ 数分〜数時間で急に広がるむくみ(まぶた・口唇・舌・手足など)
◻︎ かゆみが乏しく、灼熱感や圧迫感だけが強い腫れ
◻︎ 繰り返し同様の腫れが起こる/家族にも似た症状がある
◻︎ 高血圧薬のACE阻害薬を内服中に起きた腫れ

▶︎ これらに当てはまれば、「クインケ浮腫」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ のどや舌が腫れて息苦しい/声が出しにくい
◻︎ 数分〜数時間で急速に広がるむくみ
◻︎ かゆみが乏しく灼熱感・圧迫感が強い
◻︎ ACE阻害薬を内服中の発症
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:のど・舌・喉頭の腫れ、声が出しにくい、飲み込みづらい、息苦しい

早めに受診:腫れを繰り返す/原因が不明/家族歴がある/ACE阻害薬内服中

様子見可:顔だけの軽い腫れで呼吸や飲み込みに問題がない場合。ただし変化があればすぐ相談を

予防のポイント

    • アレルゲン・誘因を知って避ける

    • 薬歴・病歴を医師に正確に伝える

    • ストレスや疲労をため込まない

    • 定期的に検査や専門医の診察を受ける

    • 再発や重症化に備え、対処法を準備しておく

FAQ

Q1. 検査は何をしますか?

視診・問診に加え、血液検査の C4C1インヒビター、アレルギー検査(IgE)などでタイプを見極め、薬剤歴や喉頭の腫れ・呼吸状態を確認します。

Q2. 腫れはどれくらい続きますか?

多くは 2〜5日 程度持続します。のどの違和感や呼吸のしづらさがあれば 緊急受診 を検討してください。

Q3. かゆみが少ないのはなぜですか?

皮膚の深い層(皮下・粘膜下)に体液がしみ出して腫れるため、じんましんと違って かゆみが少ない のが特徴です。灼熱感や圧迫感を伴うことがあります。

Q4. どんな治療薬が使われますか?

アレルギー性では 抗ヒスタミン薬 やステロイド、重症時はアドレナリン。非アレルギー性や遺伝性では C1インヒビター製剤 など補体系の治療を行います。

Q5. どんな時に救急へ行くべきですか?

のど・舌の腫れ、声が出しにくい、飲み込みづらい、息苦しいなど 気道症状 があるときはためらわずに受診してください。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。