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50代 女性のご相談

肝斑【しみ】ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック

◻︎ 境界が不整で色むらがあるしみ
◻︎ 短期間で急に大きくなる/盛り上がってきた
◻︎ 触れると出血する、かさぶたを繰り返す

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医師の回答

肝斑は、いわゆるしみの一種で、形のはっきりした褐色斑が頬を中心に左右対称的にあらわれます。目の周囲は侵されません。

頬の左右にうっすら茶色いシミ…
それ、「肝斑(かんぱん)」かも!?

肝斑は、いわゆるしみの一種で、形のはっきりした褐色斑が頬を中心に左右対称的にあらわれます。 女性ホルモンや副腎皮質ホルモンの分泌変化、紫外線などの慢性的な物理的刺激などによるメラノサイトの活性化が原因と考えられています。大きさや形は一定ではなく、紫外線によって夏に悪化し、冬に軽減することがあります。30代以降の女性に多くみられます。

M.Kさん

薄い影のようなしみが頬に広がり、夕方のくすみも気になっていました。日焼け止めは塗っていましたが、クレンジングでゴシゴシこする癖があり、夏に一気に濃くなったのをきっかけに相談しました。 内服を続けながら、洗顔をやさしく・タオルオフも押さえるだけに変更。強いレーザーは避け、低出力の施術を数回。数か月かけて少しずつトーンが上がり、「こすらない」大切さを実感しています。

30秒セルフチェック/診断チャート

01

症状の出方・強さ

両ほほ中心に左右対称の薄茶〜褐色斑

目のまわりは抜けやすい

境界は比較的あいまいで面状に広がる

02

経過・持続

夏(紫外線)で濃く、冬にやや軽くなる

妊娠・ピル・更年期などの時期に目立つ

03

随伴症状・背景

洗顔やマッサージで“こする習慣”がある

ストレスや睡眠不足が続く

※「急に大きい」「色ムラや出血・隆起」は別疾患の可能性

結論

該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

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肝斑【しみ】とは?

肝斑(かんぱん)は、30代から50代の女性に多く見られる色素沈着の一種で、主に両頬の骨の上や額の中央、口の周囲などに、左右対称に広がる薄茶色のしみとして現れます。その形は比較的境界があいまいで、全体的に肌がくすんだ印象を与えることもあり、一般的なしみとはやや異なる特徴を持ちます。特に目のまわりには出にくいことが肝斑の大きな特徴の一つです。初期には「何となく顔色が暗く見える」「頬にうっすらとした影が出てきた」といった程度の気づきから始まり、次第に色素沈着が広がって、メイクでも隠しにくくなることがあります。

肝斑の原因は複雑で、主に女性ホルモンの変動紫外線の刺激、そして日常的な摩擦やストレス、肌への過剰な刺激など、内的・外的な要因が重なり合うことで発症します。たとえば、妊娠や出産、ピルの使用、更年期など、ホルモンバランスが変化する時期に発症しやすく、さらに紫外線を浴びることでメラニンの生成が促進され、症状が悪化する傾向にあります。また、洗顔時に肌を強くこする、クレンジングやマッサージをゴシゴシと行うといった物理的な刺激も、肝斑を濃くしてしまう大きな原因となります。

肝斑は、いわゆる「シミ」のように見えるものの、通常の老人性色素斑とは治療法が異なり、間違った対処をすると悪化する可能性があります。たとえば、美白を目的とした強いレーザー治療(Qスイッチレーザーなど)は、肝斑に対しては刺激が強すぎてかえって色素沈着を悪化させてしまうケースがあるため、治療は慎重に行う必要があります。肝斑の基本的な治療には、内服薬のトラネキサム酸やビタミンC、E、L-システインの併用が第一選択とされており、これらはメラニンの生成を抑制し、炎症を鎮めることで徐々に肝斑の色を薄くしていきます。また、外用薬としてハイドロキノンやトレチノインを使うケースもありますが、これらは刺激があるため肌の状態や体質を見極めて使用する必要があります。

美容皮膚科領域では、低出力のレーザートーニングイオン導入、ケミカルピーリングといった、穏やかな刺激でメラニンを抑える施術も行われています。ただし、どの治療も即効性はなく、数ヶ月単位で継続的に行うことが基本です。また、日常生活の中でできるセルフケアも非常に重要であり、紫外線対策としての日焼け止めの毎日使用(曇りの日や室内でも)、スキンケア時の摩擦を避けるやさしい洗顔、ビタミンCやEを意識した抗酸化作用のある食生活、ホルモンバランスを整える十分な睡眠とストレスケアなどが、肝斑の予防・再発防止につながります。

「最近、頬にうっすらしたしみが出てきた」「妊娠してから急に肌の色が変わった」「市販の美白薬で悪化した」というような場合、それは肝斑かもしれません。肝斑は自己判断や市販薬でのケアだけではかえって濃くなることもあるため、専門の皮膚科で早めに相談することが非常に大切です

応急処置(今日できること)

  • 毎日、日焼け止め(曇りや室内でも)

  • 洗顔・クレンジングはやさしく。“こすらない”を徹底

  • マッサージやピーリングの過度な摩擦は避ける

  • 生活では十分な睡眠・ストレスケア、ビタミンC/Eを意識した食事

  • 強いレーザー等の刺激的治療を自己判断で行わない

一般的な肝斑【しみ】治療に使われる薬

① 【内服薬(第一選択)】
▶ 肝斑治療の基本となる“トラネキサム酸”を中心に処方

トラネキサム酸 トランサミンなど メラニン産生を抑える。抗炎症・抗アレルギー作用もあり
ビタミンC(アスコルビン酸) シナールなど 抗酸化作用・美白補助
ビタミンE(トコフェロール) ユベラなど 血行促進・抗酸化作用
L-システイン ハイチオールなど メラニン代謝の正常化を助ける

🔸 これらはセットで処方されることが多く、最低でも1〜2ヶ月は継続内服が必要です。

② 【外用薬(塗り薬)】
▶ 美白成分配合の医療用外用薬・市販薬

ハイドロキノン 医療用(院内調合)・市販薬(ビーグレンなど) メラニンの生成抑制。効果が高いが刺激性あり
トレチノイン 医療機関で処方 ターンオーバー促進。ハイドロキノンと併用されることが多い
ナイアシンアミド 市販美白化粧品に配合 メラニンの輸送を抑制。低刺激で使いやすい
アゼライン酸 医療機関・市販化粧品 近年注目される美白成分。肌にやさしい

③ 【その他:漢方薬など】

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 血行不良・ホルモンバランスの改善に
加味逍遙散(かみしょうようさん) 女性ホルモンのゆらぎが関与しているときに用いられることあり

④ 【レーザー治療は注意が必要⚠️】
通常のレーザー治療(Qスイッチレーザーなど)は肝斑を悪化させることがあります。

使用するなら「レーザートーニング(低出力レーザー)」など、専門的判断が必要です。

✅ 市販薬で使えるもの(軽症・予防)

トランシーノII(第1類医薬品) トラネキサム酸750mg/日 + ビタミンC/E 肝斑専用の内服薬として販売。2ヶ月間内服が基本
ハイチオールCプラス L-システイン + ビタミンC シミ全般や肌荒れに
メラノCC、ビーグレンHQクリームなど ハイドロキノン・ビタミンC誘導体 美白外用薬(低濃度ならセルフ使用も可能)

病院で何を調べるの?

肝斑は見た目の特徴がはっきりしているため、多くは視診と問診で診断が可能です。

ただし他のしみとの区別が難しい場合や、治療薬を安全に使えるかどうかを確認するために、肌の検査や生活習慣のヒアリングを行うことがあります。

適切な診断とケア方針の決定が、肝斑の改善への第一歩になります。

「肝斑【しみ】」と似ている症状の病気(鑑別疾患)

老人性色素斑(いわゆる普通のシミ)

紫外線ダメージが主因/境界がはっきりしていて濃い茶色 1つずつ独立して出る/肝斑とは治療法が異なる

雀卵斑(そばかす)

遺伝性/子どものころからある/細かいシミがたくさん 肝斑より若年に出現/春夏に濃くなる

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)

鼻の下・頬骨に青黒っぽいしみ 肝斑より深い/レーザー治療が必要なことが多い

炎症後色素沈着

ニキビ・虫さされなどのあとにできるシミ 肝斑より原因がはっきりしている/時間と共に薄くなる

皮膚がん(基底細胞がんなど)

境界不明瞭なシミ・色調のムラ・盛り上がり 急に大きくなる・出血などがあれば早めに皮膚科へ!

肝斑【しみ】の特徴をチェック!

◻︎ 境界が不整で色むらがあるしみ
◻︎ 短期間で急に大きくなる/盛り上がってきた
◻︎ 触れると出血する、かさぶたを繰り返す

▶︎ これらに当てはまれば、「肝斑【しみ】」や関連する疾患の可能性があります

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 境界が不整で色むらがある
◻︎ 急に大きくなる/盛り上がりを伴う
◻︎ 出血・かさぶたを繰り返す
 

▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を

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受診の目安(タイムライン)

当日〜翌日:上記の赤旗に当てはまる

早めに受診:肝斑が疑われ自己判断に不安がある、市販薬で悪化した、施術を検討したい

様子見可:軽症・予防目的で市販薬や生活改善を開始し悪化がない(迷う場合は相談を)

予防のポイント

  • 合言葉は「こすらない/焼かない/乱さない(ホルモン)」

  • 日焼け止めは毎日(曇天・室内でも)

  • 洗顔・クレンジングは“やさしく押さえる”が基本

  • 睡眠とストレスケアを整える、ビタミンC/Eを意識する

FAQ

Q1. 市販薬だけで良くなりますか?

軽症・予防には内服(例:トランシーノII)や低濃度の美白外用が役立つ場合がありますが、悪化・刺激があれば受診してください。

Q2. レーザーをすれば早く消えますか?

強いレーザーは肝斑を悪化させることがあります。行うなら低出力の方法を専門家と相談し、数か月単位で継続します。

Q3. 効果はどのくらいで出ますか?

内服は1〜2か月の継続が基本です。施術も即効性は乏しく、複数回を前提に数か月かけて評価します。

Q4. 診断はどのように行いますか?

多くは視診と問診で診断可能です。迷う場合や治療の安全性確認のために必要なチェックを行います。

監修薬剤師/公衆衛生学修士

畔原 篤 Atsushi Azehara

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

執筆者

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。