【保険適用】ヒフメド|皮フ科専門オンライン診療

ダニアレルギーってどんな病気?症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック!
◻︎ 症状(鼻炎・目のかゆみ・湿疹・ぜんそく様のせき)が数週間以上つづく
◻︎ 夜間〜早朝にせきや息苦しさが強く、眠れない/呼吸が苦しい
◻︎ 広い範囲の湿疹や強いかゆみで、日常生活に支障が出ている
→ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を。

30代 女性のご相談

ダニアレルギーってどんな病気?

医師の回答

ダニアレルギーとは、ふとんやじゅうたんなどにいるダニやその死がい・フンを吸い込んだりふれたりしたときに体が「悪いものだ」とまちがえて反応して鼻水やくしゃみ、かゆみやぜんそくなどを起こす病気で、予防には掃除や換気、布団を清潔に保つことが大切です。

〜それ、ただの鼻炎や乾燥肌じゃないかも〜
ダニアレルギーは、布団やカーペットなどにいるヒョウヒダニ由来の抗原で鼻・目・気道・皮膚に症状が出る状態です。
一般の風邪や乾燥によるかゆみと異なり、寝具まわりで悪化しやすく、季節としては梅雨〜夏の高湿期や秋口に目立ちます。
数週間〜持続的に続くことがあり、放置すると喘息や皮膚症状の慢性化につながる可能性があります。
環境要因(湿度・ハウスダスト)とアレルギー素因が関与するとされ、早めの受診と環境整備が有用です。

D.Aさん

寝具の周りで朝いちばんにくしゃみが連発し、目のかゆみと鼻づまりが続きました。夏から秋にかけて特に悪化し、肌も赤くかゆくなって家事や仕事に集中できませんでした。

オンラインで相談し、環境整備と薬の使い方を指導してもらいました。寝具の洗濯と高温乾燥、カーペットの掃除機がけを見直し、保湿と外用薬で皮膚症状も改善。季節の変わり目は早めに対策する大切さを学びました。

30秒セルフチェック/診断チャート

STEP 1|症状の出方・強さ

・くしゃみ・鼻水・鼻づまり、目のかゆみがある
・皮膚のかゆみや湿疹(顔・首・胸など寝具に触れる部位)
・夜間〜起床時や寝具周辺で悪化しやすい

STEP 2|経過・持続

・梅雨〜夏の高湿期や秋口に目立つ
・症状が数週間〜持続することがある

STEP 3|随伴症状・背景

・ぜんそく様のせき、息苦しさが出ることがある
・室内の湿度が高い/布団・カーペット・布製ソファが多い
・アレルギー体質やアトピー性皮膚炎がある

—— 判定 ——
該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

ダニアレルギーとは、室内に生息するヒョウヒダニ(Dermatophagoides)などのダニやその死がい・フンに含まれる抗原に対するIgE(アイジーイー)介在の即時型過敏反応で、くしゃみ・鼻水・鼻閉、目のかゆみ、せき・ぜんそく、皮膚のかゆみや湿疹を引き起こす総称です。睡眠中や起床時に悪化しやすく、住環境の湿度や寝具の状態に強く影響されます。

たとえば、寝具周辺の鼻炎・結膜炎、梅雨〜夏の高湿環境での悪化、秋口にハウスダストの攪拌で症状が目立つケース、アトピー性皮膚炎の増悪などが代表例です。関連する抗原としてDer p 1、Der f 1、Der p 2などが知られており、近年はDer p 23への感作の検出も行われます。

【主な原因】

  • 室内の高湿度(概ね50%超)と温暖環境でのダニ増殖

  • 寝具・カーペット・布製ソファなどに蓄積したダニ抗原の吸入・接触

  • 遺伝的素因(アトピー素因)とバリア機能低下による感作

  • ハウスダストの堆積や換気不良による曝露増大

  • 秋〜冬にかけてのダニ死がい・糞の飛散(暖房使用で攪拌)

好発部位・なりやすい人は、寝具に接する顔面・頸部・前胸部などに皮膚症状が出やすく、アトピー性皮膚炎やアレルギー体質の方、乳幼児〜学童、寝具やカーペットの使用が多い家庭、ペット同居家庭に多い傾向があります。住居の湿潤・密閉環境、布製品の多い生活はリスクを高めます。

進行・経過は、初期のくしゃみ・目鼻のかゆみ、皮膚の紅斑・掻痒から、掻破でびらんや滲出、慢性化すると苔癬化(たいせんか)に至ることがあります。悪化因子は湿度・汗・寝具のホコリ、ストレスや睡眠不足、気温差などです。受診の目安は、①数週間以上症状が続く、②夜間・早朝のせきや息苦しさ、③広い範囲の湿疹や強いかゆみで日常生活に支障がある場合です。早期受診により原因推定と環境対策、適切な薬物選択、必要時の専門治療(免疫療法など)につながります。

応急処置(今日できること)

  • 室内の換気と除湿を行い、湿度はおおむね35〜50%を目安に保つ。

  • 布団・シーツ・枕カバーは週1回を目安に洗濯。温水洗いや高温乾燥で仕上げる。

  • マットレス表面・カーペット・ラグは週2〜3回ていねいに掃除機をかける(HEPA推奨)。

  • 布団・枕は高密度織りの防ダニカバーで包み、カバーも定期洗濯。

  • カーテンやソファはホコリの舞いにくい素材に替えるか、こまめに洗濯・拭き取り。

  • 暖房開始時期はホコリの舞い上がりに注意し、「掃除→換気→過度に加湿しない」の順で環境整備。

✅ 主な治療薬(ダニアレルギー)
① 外用薬(皮ふ症状がある場合)

▶ ステロイド外用薬(炎症を抑える)
アトピー性皮膚炎や湿疹が悪化したときに使用。強さや部位に応じて選択。

強さ 主な薬剤名 商品名(例)
Very Strong モメタゾンフランカルボン酸 フルメタ など
Strong ベタメタゾン吉草酸エステル リンデロン-VG など
Medium ヒドロコルチゾン酪酸エステル ロコイド など
Weak プレドニゾロン プレドニン軟膏 など

▶ タクロリムス軟膏(非ステロイド免疫抑制剤)

プロトピック軟膏
顔・首などステロイドを避けたい部位に

▶ JAK阻害薬外用

コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)
小児にも使える新しいタイプの非ステロイド薬

▶ 保湿剤(基本治療)

ヘパリン類似物質(ヒルドイドなど)
ワセリン
尿素製剤(刺激があるため注意)

② 内服薬(鼻炎・かゆみ・ぜんそく症状に)

▶ 抗ヒスタミン薬(第一選択)

セチリジン(ジルテック)
フェキソフェナジン(アレグラ)
オロパタジン(アレロック)
ロラタジン(クラリチン)
ポララミン など

▶ 抗ロイコトリエン薬

モンテルカスト(シングレア)
特にアレルギー性鼻炎や小児喘息に効果

▶ 点鼻薬(鼻炎症状に)

ステロイド点鼻薬(ナゾネックス、アラミストなど)
抗ヒスタミン点鼻薬

▶ 吸入薬(喘息症状に)

吸入ステロイド薬(フルチカゾン、ブデソニドなど)
吸入配合薬(ICS+LABA:アドエア、シムビコートなど)

▶ ステロイド内服(重症例)

プレドニゾロン(短期使用のみ)

③ 特殊療法

▶ アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)
ダニアレルギーに対して唯一の根本治療に近い方法。

ミティキュア®(ダニ舌下錠)
アシテア®(ダニ舌下錠)

毎日少量のダニ抗原を服用し、体を「慣れさせる」治療。
長期(3〜5年)継続する必要があります。

④ 注射薬(重症例)

▶ デュピクセント(デュピルマブ)
IL-4/IL-13阻害抗体。中等症〜重症の喘息やアトピー性皮膚炎に有効。

▶ ゾレア(オマリズマブ)
IgEを標的とする抗体製剤。重症喘息や重度のアレルギー性鼻炎に使用。

📌 まとめ

皮ふ症状 → 外用薬+保湿剤
鼻炎 → 内服抗ヒスタミン薬+点鼻薬
喘息 → 吸入薬中心
重症例 → 生物学的製剤や免疫療法

◆ 病院で何を調べるの?

  • 視診・問診:症状の部位・時間帯・住環境との関連を整理します。寝具周辺での増悪や季節性の有無を確認し、他疾患(感染症、疥癬〔かいせん〕など)との鑑別に役立ちます。結果は当日わかります。

  • 皮膚プリックテスト:ダニ標準抗原を用いる即時型反応のスクリーニングです。数値と膨疹径で感作の有無を推定し、判定は15〜20分程度です。抗ヒスタミン薬内服中は反応が弱まるため事前中止が必要です。

  • 特異的IgE(血液検査):ダニ(Der p、Der f)に対するIgEを定量し、経過追跡や重症度把握に有用です。結果は数日で判明します。近年はDer p 1、Der p 2、Der p 23などの成分特異的IgE(コンポーネント診断)でリスクや交差反応をより精密に評価できます。

  • 鼻誘発試験・呼吸機能検査:鼻炎・喘息症状が強い場合にアレルゲン曝露で症状再現の有無や気道過敏性をみます。実臨床では選択的に実施され、専門施設で行います。結果は当日〜数日で評価します。

  • 環境中アレルゲン測定:室内塵のDer p 1/Der f 1量を測定し、曝露の目安を把握します。2 µg/g以上で感作リスク、10 µg/g以上で喘息症状リスクが指摘されています。対策効果の確認にも用います。結果は外注で数日〜1週間が目安です。

  • パッチテスト(アトピーパッチテスト):ダニ抗原に対する遅延型反応の評価で、アトピー性皮膚炎との関連探索に用いられることがあります。ただし有用性には見解が分かれ、判定は48〜72時間後です。外用薬の一時中止など事前準備が必要です。

ハウスダストアレルギー

⇒ダニ以外にホコリ・カビ・ペットの毛も原因 ダニ特異的IgE検査で判別可能

花粉症(季節性鼻炎)

⇒季節ごとに鼻水・目のかゆみ 春や秋限定で悪化、季節性あり

風邪(ウイルス性鼻炎)

⇒発熱・のどの痛み・数日で改善 発熱・倦怠感が強く、長期化しない

喘息(非アレルギー性)

⇒せき・呼吸困難・夜間悪化 アレルゲンなし/運動や感染で悪化することも

副鼻腔炎(ちくのう症)

⇒黄色くドロっとした鼻水・頭痛・顔の重さ 鼻水が膿性で長引くのが特徴

接触皮膚炎(かぶれ)

⇒衣類・洗剤で皮ふが赤くかゆい 原因が明確/皮ふに限局して出やすい

⚠️緊急度をチェック!

◻︎ 症状が数週間以上つづく
◻︎ 夜間のせき・息苦しさが強い
◻︎ 広範囲の湿疹や強いかゆみで生活に支障

→ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を。

受診の目安(タイムライン)

  • 当日〜翌日:夜間の呼吸苦がある/広範囲の湿疹や強いかゆみでQOL低下

  • 早めに受診:症状が数週間続く/寝具周辺で明らかに悪化する

  • 様子見可:軽症で環境整備により改善傾向がある場合(ただし悪化・長引くなら受診)

予防のポイント

室内湿度を35〜50%に保つ(除湿・換気を毎日)
寝具は週1回洗濯し、高温乾燥または温水洗い
マットレス表面・カーペットは週2〜3回ていねいに掃除機がけ
防ダニカバーを使用し、カバーも定期洗濯
カーテン・ソファはホコリが舞いにくい素材/こまめに洗濯・拭き取り
暖房開始時は「掃除→換気→過度に加湿しない」を徹底

FAQ

Q1. どの診療科にかかれば良いですか?
A1. 皮膚症状やかゆみは皮膚科、鼻・目・呼吸器症状が強い場合は耳鼻科・呼吸器内科でも相談可能です。

Q2. 診断はどのように行いますか?
A2. 問診・視診に加え、皮膚プリックテストや特異的IgE(Der p/Der f、成分特異的IgE)で感作の有無を評価します。必要に応じて鼻誘発・呼吸機能検査、環境中アレルゲン測定を行います。

Q3. 舌下免疫療法はどれくらい続けますか?
A3. ミティキュア®/アシテア®を用い、毎日少量の抗原を服用します。効果判定まで時間を要し、長期(3〜5年)の継続が必要です。

Q4. 家庭での対策の頻度は?
A4. 寝具は週1回の洗濯・高温乾燥、カーペット等は週2〜3回の掃除機がけ、湿度は35〜50%を目安に保つと良いでしょう

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。