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30代 男性のご相談

花粉症皮膚炎ってどんな病気?

医師の回答

花粉症皮膚炎は、花粉が皮膚に付着して起こるアレルギー性の皮膚炎です。

〜春や秋に増える「肌のかゆみ・赤み」…実は花粉が原因かも?〜
花粉症皮膚炎とは、スギ・ヒノキ・イネ・ブタクサなどの季節性花粉が皮膚に触れることで起きるアレルギー反応です。
目のまわり・頬・首・あご・腕など露出している部分に赤みやかゆみが出るのが特徴で、「毎年この季節になると肌が荒れる」という方は、このタイプの皮膚炎かもしれません。

花粉症皮膚炎(かふんしょうひふえん)とは、スギやヒノキ、イネ科、ブタクサなどの花粉が皮膚に付着することで、かゆみや赤み、ひりつきといった症状を引き起こす皮膚炎の総称です。春や秋など特定の季節に繰り返し起こるのが特徴で、「毎年同じ時期に肌が荒れる」という方では、この疾患が関与していることがあります。花粉症の目や鼻の症状を伴う場合もありますが、皮膚だけに症状が出る方も少なくありません。

たとえば、顔や首、あご、腕など露出部に赤みやかゆみが出る「顔面型」、メイクや洗顔でしみる「敏感型」、かき壊してカサカサ・かさぶたができる「掻破後型」などがあります。アトピー体質、敏感肌、乾燥肌の方や小児にもみられることがあり、症状の出方には幅があります。

主な原因
  • 花粉が皮膚に付着してアレルギー反応を誘発

  • 乾燥により皮膚バリアが低下し、刺激に敏感になる

  • 花粉に付着した化学物質が炎症を助長

  • 紫外線や乾燥との相乗効果で悪化しやすい

好発部位は、目のまわり、頬、首、あご、腕など外気にさらされる部分です。特に外出が多い人や屋外活動をする子ども、花粉症を持つ方、敏感肌・アトピー性皮膚炎の既往がある人に起こりやすい傾向があります。

経過としては、初期にかゆみや赤みが出て、掻くことで皮膚が荒れて滲出液やかさぶたを伴い、慢性化すると苔癬化〔たいせんか:皮膚が厚く硬くなる変化〕することもあります。乾燥や摩擦、紫外線、ストレスなどが悪化因子となります。早期に治療を受けることで症状が軽いうちに抑えられ、生活の質を保ちやすくなります。

✅ 花粉症皮膚炎に使われる治療薬

◆ ① 外用薬(塗り薬)

薬剤名        分類        特徴・用途

プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(リドメックス®)        中等度のステロイド外用薬        顔や首などに使用可/炎症を抑える
デキサメタゾン(ザルックス®)        軽めのステロイド        まぶたや口の周りなど、皮膚の薄い部位に使用
ヒドロコルチゾン酪酸エステル(ロコイド®)        弱めのステロイド        小児・敏感部位でも比較的安全に使える
タクロリムス軟膏(プロトピック®)        外用免疫抑制剤(ステロイドではない)        長期使用に向く/赤み・かゆみに有効/刺激感に注意
保湿剤(ヘパリン類似物質、ワセリンなど)        保湿・バリア保護        乾燥や刺激を防ぎ、治癒を助ける

◆ ② 内服薬(かゆみが強い/全身症状を伴う場合)

薬剤名        分類        特徴

フェキソフェナジン(アレグラ®)        第2世代抗ヒスタミン薬        眠気が少ない/花粉症全体に有効
エピナスチン(アレジオン®)        抗アレルギー薬        かゆみ・鼻炎・眼症状にも有効
セチリジン(ジルテック®)        抗ヒスタミン薬        軽い眠気あり/夜間のかゆみにも
ルパタジン(ルパフィン®)        抗ヒスタミン+抗PAF作用        かゆみ+蕁麻疹タイプにも有効
漢方薬:十味敗毒湯・消風散など        体質・炎症を改善        慢性の皮膚炎や繰り返すかゆみに用いることも

 🔬 病院で何を調べるの?

  • 視診・問診:皮膚の赤みやかゆみの部位、季節性の有無を確認します。花粉飛散期と症状の関連を見極め、他の皮膚炎との違いを把握する手がかりになります。

  • パッチテスト:特定のアレルゲンに対する皮膚の反応を確認します。花粉以外の接触性皮膚炎を除外する目的もあり、48〜72時間後に判定します。外用薬の使用はテスト前に中止が必要です。

  • 血液検査(特異的IgE検査):花粉に対するアレルギーの有無を確認します。スギやヒノキなど種類ごとの感作状態が分かり、治療や予防の参考になります。

  • 皮膚生検:症状が持続し、他の皮膚疾患が疑われる場合に行います。局所麻酔下で皮膚を一部採取し、炎症の特徴を顕微鏡で確認します。結果が出るまで数日かかり、小さな瘢痕が残る可能性があります。

  • 細菌培養:かき壊しや滲出液がある場合に、二次感染の有無を調べます。抗生物質の選択に役立ち、再発防止のためにも行われます。

🔬 間違えやすい他の病気(鑑別)
疾患名 特徴 見分けポイント

接触皮膚炎(かぶれ)
⇒ 化粧品・金属・植物などの外的刺激で発症 触れた部位にハッキリと赤み/範囲が限定的なことが多い

日光皮膚炎(紫外線アレルギー)
⇒日光に当たることでかゆみ・赤み 屋外での急な露出/春夏に多い/紫外線の有無で判断
アトピー性皮膚炎 アレルギー体質による慢性湿疹/年中出る 乾燥肌が背景/顔・首・関節に左右対称/慢性的に続く

乾燥性湿疹(皮脂欠乏性湿疹)
⇒冬場の乾燥で皮ふが粉をふいて赤くなる かゆみ+白い粉ふき/季節は冬が多め

酒さ様皮膚炎(しゅさようひふえん)
⇒顔が赤くヒリヒリ/ステロイド長期使用後に悪化 赤みが強く、毛細血管が浮いて見えることも

脂漏性皮膚炎
⇒眉・鼻まわり・額・頭皮に赤みやフケ状のかさつき かゆみ+皮脂の多い場所/フケのような皮むけあり

予防のポイント
外出時はマスク・眼鏡・帽子で花粉を避ける
帰宅後は顔や首をやさしく洗い流す
低刺激の洗浄料と十分な保湿を心がける
日焼け止めで紫外線ダメージを防ぐ
部屋干しや空気清浄機で室内の花粉を減らす
掻かずに抗ヒスタミン薬や外用薬でかゆみを抑える
規則正しい睡眠とバランスのよい食事で肌の抵抗力を保つ
花粉飛散情報を確認し、多い日は外出を控える

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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