10代 女性のご相談
シイタケ皮膚炎ってどんな病気?
症状チェックと対処法を皮膚科医が解説
⚠️まずは緊急度をチェック
◻︎ 発熱・全身の紅斑など、全身症状がある
◻︎ 強いかゆみと線状の発疹が広範囲に急に広がっている
◻︎ 食後数日たっても改善しない/繰り返している
◻︎ 蕁麻疹や帯状疱疹など他疾患との区別がつかない
▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を
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医師の回答
食べたあとに“みみずばれ”のような赤い発疹がでたら!?

A.Mさん
焼き肉でしいたけを食べた翌朝、背中に細い赤い線がたくさん出て強くかゆく、ひっかいた跡のように見えました。湿疹は腕やお腹にも広がり、衣服が触れるだけでもむずむずしました。
オンラインで相談すると「シイタケ皮膚炎の疑い」と言われ、指示どおり塗り薬と抗ヒスタミン薬を使いました。2〜3日でかゆみが引き、1週間ほどでほぼ消失。以後はしいたけをしっかり加熱するよう心がけています。30秒セルフチェック/診断チャート
01
症状の出方・強さ
線状の赤い発疹(みみずばれ様)が目立つ
強いかゆみがある/掻くと線が強調される
背中・お腹・腕・脚など体幹〜四肢に出やすい
02
経過・持続
しいたけ摂取の数時間〜数日後に出現
多くは数日〜1週間で軽快(治療で短縮)
03
随伴症状・背景
生〜加熱不十分のしいたけを食べた
細かな水ぶくれを伴うことがある
他疾患(蕁麻疹・接触皮膚炎・皮膚描記症)との鑑別が必要なことも
結論
該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談
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シイタケ皮膚炎とは?赤いみみずばれのような発疹に注意!
シイタケ皮膚炎は、加熱が不十分な生しいたけを食べた後に、強いかゆみを伴う線状の赤い発疹が皮膚に現れるアレルギー様の皮膚炎です。見た目は「みみずばれ」や「ひっかき傷」のようで、主に背中・お腹・腕・脚などに出るのが特徴です。
原因とされるのは、しいたけに含まれる成分「レンチナン」。加熱すれば無害ですが、生焼けの状態では体の免疫が過敏に反応し、炎症を起こすことがあります。
症状は食後数時間〜数日以内に発症し、かゆみが強く、かきむしることで悪化することも。ほとんどの場合は1週間以内に治まりますが、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の処方で早期に改善が見込めます。
応急処置(今日できること)
応急対応は疾患により異なります。自己判断での処置は避け、症状が強い/拡大する/痛む場合は医師に相談してください。
一般的なシイタケ皮膚炎治療に使われる薬
▶ 基本方針:対症療法(ステロイド外用+抗ヒスタミン薬)
①【外用ステロイド薬】★炎症・かゆみを抑える
強力型 ベタメタゾン リンデロンV軟膏/ローション 軽〜中等度の場合に
最強型 クロベタゾール デルモベート軟膏 皮疹が広範囲・強い場合に短期間使用
🔹 1日1~2回塗布。赤みや膨疹が強い部位に使用
🔹 顔などには弱めのステロイドを選択(ロコイドなど)
②【抗ヒスタミン薬】★かゆみ・掻破防止
第2世代 レボセチリジン ザイザル 眠気が少ない。かゆみに有効
第2世代 フェキソフェナジン アレグラ 非鎮静性。軽症例に使いやすい
第1世代 クロルフェニラミン ポララミン 強いかゆみ・不眠に有効(眠気あり)
🔹 掻きむしりを防ぐため、就寝前に眠くなるタイプを使うことも有効
③【ステロイド内服】★ごく稀に重症例で
全身症状(発熱・全身紅斑・強い掻痒)がある場合に限って短期間使用
プレドニゾロン プレドニン錠 通常10~20mg/日を数日間のみ服用
※ 多くの例は外用薬と抗ヒスタミン薬のみで改善します

病院で何を調べるの?
1. 問診
医師は以下のような内容を丁寧に確認します。
発疹が出た時期や経過(食事からの時間など)
シイタケや他のキノコ料理を食べたかどうか
発疹が出た部位やかゆみの強さ
発疹の形や広がり方(線状、掻いた痕のような見た目など)
他の病気や、服薬中の薬があるか など
2. 視診(皮膚の観察)
みみずばれのような線状の赤い発疹があるかを確認
蕁麻疹や帯状疱疹など、他の皮膚疾患との鑑別も行います
シイタケ皮膚炎は、見た目が特徴的なことが多く、問診と視診で比較的診断しやすい疾患です。
3. 必要に応じて行う検査
シイタケ皮膚炎では通常、特別な血液検査やアレルギー検査は不要ですが、次のような場合は追加の検査をすることがあります。
他の皮膚病が疑われる
症状が長引いている、または再発している
蕁麻疹やアレルギー疾患との鑑別が難しい場合
※通常、シイタケ皮膚炎は“確定診断”よりも臨床診断(症状+経過+問診)で診断されます。
「シイタケ皮膚炎」と似ている症状の病気(鑑別疾患)
蕁麻疹
盛り上がったかゆみのある発疹 数時間で消える/線状にはならない
接触皮膚炎(かぶれ)
触れた部位に赤み・かゆみ 食後ではなく、皮膚に触れた場所に出る/決まった形
皮膚描記症(デルモグラフィズム)
ひっかくとすぐミミズ腫れになる体質 外的刺激によるもので、食べ物とは無関係
シイタケ皮膚炎の特徴をチェック!
◻︎ 発熱・全身の紅斑など、全身症状がある
◻︎ 強いかゆみと線状の発疹が広範囲に急に広がっている
◻︎ 食後数日たっても改善しない/繰り返している
◻︎ 蕁麻疹や帯状疱疹など他疾患との区別がつかない
▶︎ これらに当てはまれば、「シイタケ皮膚炎」や関連する疾患の可能性があります
⚠️緊急度をチェック!
◻︎ 強いかゆみ+広範囲の線状発疹
◻︎ 数日たっても改善しない/再発を繰り返す
▶︎ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を
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受診の目安(タイムライン)
当日〜翌日:発熱・全身紅斑など全身症状がある
早めに受診:食後に線状の赤い発疹とかゆみが出た/鑑別に迷う
様子見可:軽症で改善傾向が明らか(多くは1週間以内に軽快)
予防のポイント
- しいたけは「中までしっかり加熱調理」する
FAQ
Q1. どのくらいで治りますか?
Q2. 検査は必要ですか?
Q3. 子どもでもなりますか?
Q4. 市販薬で様子をみてもよいですか?
監修薬剤師/公衆衛生学修士
畔原 篤 Atsushi Azehara
新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。
執筆者
ヒフメドの編集チームは、皮膚疾患で悩む方に向けて専門的かつ最新の情報を分かりやすく届けることを目指しています。アトピーや皮膚感染症といった疾患の基礎知識から、治療・生活管理の実用的なコツ、最新の治療事情まで幅広くカバー。読者が記事を読むことで「すぐに役立てられる」情報提供を心がけています。






