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ハウスダストってどんな病気?症状チェックと対処法を皮膚科医が解説

⚠️まずは緊急度をチェック!
◻︎ 広範囲の強いかゆみで眠れない・日常生活に支障がある
◻︎ 黄色い滲出液・痛み・発熱など、感染を示すサインがある
◻︎ 咳や息苦しさなど、呼吸器症状が悪化している
→ 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を。

30代 女性のご相談

ハウスダストってどんな病気?

医師の回答

ハウスダストとは、家の中にたまる小さなほこりやゴミ(布のけ、毛、食べ物のかけら、ダニの死がいなど)のあつまりで、吸い込むとアレルギーやぜんそくの原因になることがあるので掃除や換気でへらすことが大切です

〜それ、ただのホコリじゃないかも〜
ハウスダスト(主にダニ・カビ・ペット由来の微小な粉じん)によるアレルギーは、皮膚のかゆみや湿疹、鼻炎・ぜんそくを悪化させる状態です。
ふつうの汚れと違い、年中を通じて症状が続くことがあり、梅雨〜夏の高湿度で悪化しがちです。
放置すると掻破から苔癬化〔たいせんか〕や二次感染につながる可能性があるため、早めの受診と環境整備(掃除・寝具対策・換気)が有効です。

S.Tさん

子どもと一緒に寝始めてから、朝の連発くしゃみとかゆみが強くなりました。掃除機は毎日かけているつもりでも、寝具やぬいぐるみに触れると悪化。とくに梅雨時は首まわりの赤みが増え、掻いては悪化をくり返していました。

オンラインで相談し、寝具の洗濯頻度を上げて防ダニカバーを導入。掃除の順番(拭いてから吸う)や換気のコツも教えてもらい、外用薬と抗ヒスタミン薬でコントロール。焦らず続けること、環境と治療の両輪が大事だと学びました。

30秒セルフチェック/診断チャート

STEP 1|症状の出方・強さ

・ 皮膚のかゆみ・赤み・湿疹がある/掻くと悪化する
・ 朝の連発くしゃみ・鼻水・鼻づまりが目立つ
・ 咳・ぜんそく、眼のかゆみ・充血が同時に起きやすい

STEP 2|経過・持続

・ 季節を問わず年中続く/梅雨〜夏の高湿度で悪化しがち
・ 掃除や換気で一時的に軽快することがある

STEP 3|随伴症状・背景

・ 寝具・カーペット・布ソファ・ぬいぐるみが多い
・ ペット同室や掃除・換気の頻度が少ない
・ 寝室での症状増悪/朝方に強い

—— 判定 ——
該当が多い:要受診
該当が少ない:迷う場合も早めに相談

ハウスダスト(ダニ)アレルギーとは、室内にたまる微細なホコリに含まれるダニの死骸・フン、カビ胞子、ペットの毛やフケなどが引き金となり、かゆみ・湿疹、鼻水・くしゃみ、咳・ぜんそく悪化といった症状群を引き起こす総称です。寝具やカーペット、ぬいぐるみ、ソファなどに蓄積しやすく、掃除不足や湿気、密閉環境で症状が目立ちます。
たとえば、寝室でのかゆみの増悪、朝の連発くしゃみ、掃除や換気での一時的な軽快などが代表的です。皮膚ではアトピー性皮膚炎の悪化、接触皮膚炎様の赤み、掻破痕がみられることがあります。鼻炎、ぜんそく、結膜炎など呼吸器や眼の症状を伴うこともあります。

【主な原因】

  • ダニ抗原:寝具・布製品に増えやすく、即時型アレルギーを誘発しやすい

  • カビ(真菌)・細菌由来成分:高湿度・換気不良で増え、炎症を助長

  • ペット由来抗原(毛・フケ):室内飼育や寝室同室で曝露増

  • 繊維くず・皮膚片・ホコリ:アレルゲンの「運び屋」となりやすい

  • 乾燥・汗・摩擦:皮膚バリアを弱め、刺激物やアレルゲンが入りやすくなる

好発部位・なりやすい人としては、乳幼児〜学童、高齢者、アトピー素因やアレルギー家族歴がある方、ペット同居、カーペット・布製ソファの多い住環境、換気や掃除頻度が少ない生活、梅雨〜夏場の湿度管理が難しい住まいで目立ちます。症状は顔・首・肘窩・膝窩・体幹など汗・摩擦の多い部位や、寝具が触れる部位に出やすい傾向です。

進行・経過は、かゆみ→掻破で紅斑・湿疹化→滲出・落屑→慢性化で苔癬化〔たいせんか〕へ移行することがあります。悪化因子は湿度上昇(室内湿度60%超)、寝具のダニ増殖、汗・摩擦、ストレス、感染、ペット曝露、掃除不足です。受診の目安・危険サインは、

(1)広範囲の強いかゆみや眠れないほどの悪化、
(2)黄色い滲出・痛み・発熱など感染徴候、
(3)咳・息苦しさなど呼吸器症状の増悪です。

早期に評価し、環境整備と薬物治療を組み合わせることで再燃を抑えやすくなります。

応急処置(今日できること)

  • 床や棚は「拭いてから吸う」を徹底し、ほこりを舞い上げない

  • 掃除機は1畳あたり30秒以上を週2回以上、ゆっくりかける

  • 寝具カバー・シーツは週1回以上洗い、乾燥後に両面へ掃除機

  • 防ダニ高密度カバーを枕・布団・マットに常用/寝室の布製品を減らす

  • 室内湿度はおおむね60%以下(可能なら45〜55%)に保ち、1日数回換気

  • 空気清浄機は適用床面積に余裕のある機種を連続運転し、フィルター清掃・交換を守る

  • 入浴はぬるめで10分程度、汗は洗い流してすぐ保湿/かゆみは掻かず薬でコントロール/寝室へのペット同室は避ける

✅ 主な治療薬(ハウスダスト関連)
① 外用薬(塗り薬:皮ふ症状がある場合)

▶ ステロイド外用薬(炎症を抑える)
重症度に応じて5段階の強さがあり、部位や年齢により使い分けます。

強さ 主な薬剤名 商品名(例)
Very Strong モメタゾンフランカルボン酸 フルメタ など
Strong ベタメタゾン吉草酸エステル リンデロン-VG など
Medium ヒドロコルチゾン酪酸エステル ロコイド など
Weak プレドニゾロン プレドニン軟膏 など

※長期使用時は副作用に注意(皮膚萎縮、毛細血管拡張など)

▶ タクロリムス軟膏(非ステロイド・免疫抑制剤)

プロトピック軟膏
顔・首などのステロイドを避けたい部位に使用されやすい
初期に「ヒリヒリ感」「ほてり感」がでることも

▶ JAK阻害薬外用

コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)
小児にも使用可能な新しいタイプの非ステロイド薬
軽~中等症に使用

▶ 保湿剤(第一選択)

ヘパリン類似物質(ヒルドイドなど)
ワセリン
尿素含有製剤(ただし刺激あり注意)

② 内服薬(飲み薬:かゆみ・鼻炎・ぜんそく症状など)

▶ 抗ヒスタミン薬(かゆみ・鼻水止め)

ポララミン
セチリジン(ジルテック)
フェキソフェナジン(アレグラ)
オロパタジン(アレロック)

▶ 抗アレルギー薬
ヒスタミン以外の化学物質も抑えて、症状全般をコントロール。

▶ ステロイド内服(重症例の一時的使用)

プレドニゾロン(短期限定で使用)

▶ 免疫抑制剤(中等症~重症例)

シクロスポリン(ネオーラル)

③ 吸入薬・点鼻薬(呼吸器症状がある場合)

▶ 点鼻薬(鼻炎症状に)

ステロイド点鼻薬(ナゾネックス、アラミスト など)
抗ヒスタミン点鼻薬

▶ 吸入薬(ぜんそく症状に)

吸入ステロイド薬(フルチカゾンなど)
吸入配合薬(ICS+LABA:アドエア、シムビコートなど)

④ 注射薬(重症例・新しい選択肢)

▶ デュピクセント(デュピルマブ)
IL-4/IL-13阻害抗体による生物学的製剤
中等症~重症のアトピー性皮膚炎や喘息に使用され、非常に効果的

▶ ミチーガ(ネモリズマブ)
かゆみに特化したIL-31受容体阻害薬
アトピー性皮膚炎の難治性のかゆみに有効

📌 まとめ
ハウスダストによる症状(皮ふ・鼻・目・ぜんそく)に応じて、

皮ふには外用薬+保湿剤
鼻炎や目の症状には内服薬や点鼻薬
重症例には注射薬

という形で治療を組み合わせて使います。

◆ 病院で何を調べるの?

視診・問診:症状の分布、寝室環境・掃除頻度・寝具の材質、ペットの有無、季節性や日内変動を確認します。生活歴と症状の推移を重ねることで、環境因子の関与や鑑別疾患の方向性がわかります。初診当日から判断材料になります。

アレルゲン特異的IgE(血液検査):ダニ(ヒョウヒダニなど)・カビ・動物由来抗原に対する感作の有無を評価します。結果は数日程度で判明することが多く、陽性=必ず悪化因子とは限らない点に注意します。臨床経過と合わせて解釈します。

皮膚プリックテスト:即時型反応の評価を目的に、皮膚に微量のアレルゲンを接触させ、15〜20分で膨疹径を判定します。迅速で感度・特異度が比較的高く、年少児でも実施可能です。抗ヒスタミン薬の影響や全身反応への備えなど手技上の注意があります。

パッチテスト:金属や防腐剤、香料など接触性皮膚炎が疑われる場合に実施します。貼付後48〜72時間で判定し、外用薬の一時中止や貼付部の管理が必要です。ハウスダストそのものより、併存する接触アレルゲンの探索に有用です。

真菌鏡検(KOH)・細菌培養:鱗屑や滲出が目立つ場合に行い、白癬などの真菌感染や二次細菌感染の有無を確認します。鏡検は当日判定が可能で、培養は数日〜1週間ほどかかります。感染が関与する場合は治療選択が変わります。
(必要に応じて、鼻汁好酸球や呼気NO、胸部所見など他科評価を併用し、ぜんそく・アレルギー性鼻炎の関与を確認します。)

🩺 ハウスダストアレルギーと間違えやすい病気一覧

花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)

⇒春や秋に花粉で鼻水・くしゃみ・目のかゆみ 季節限定で悪化/花粉飛散カレンダーと一致

風邪(急性鼻炎)

発熱やのどの痛みを伴う/1〜2週間で自然軽快 発熱・全身倦怠感あり/長期間続かない

副鼻腔炎(ちくのう症) 

鼻づまり・ドロっとした黄色い鼻水・頭痛 鼻水が膿っぽい/においがわかりにくくなる

アレルギー性結膜炎(単独型)

目のかゆみ・充血・涙が中心で鼻症状なし 鼻症状がない/目だけが強くつらい

睡眠時無呼吸症候群

⇒鼻づまりやいびき・日中の強い眠気 アレルギーではなく気道の閉塞が原因

非アレルギー性鼻炎

気温差・におい・刺激で鼻水・くしゃみ アレルゲンなし/検査で陰性になる

⚠️緊急度をチェック!

◻︎眠れないほど強いかゆみ・広範囲悪化
◻︎黄色い滲出液・発熱・痛みなど感染兆候
◻︎咳・息苦しさなど呼吸器症状の増悪 → 1つでも当てはまれば受診/オンライン相談を。

受診の目安(タイムライン)

  • 当日〜翌日:発熱・痛み・黄色い滲出など感染徴候/咳や息苦しさが強い
  • 早めに受診:広範囲の強いかゆみ・睡眠障害/環境整備でも再燃をくり返す
  • 様子見可:軽症で掃除・換気・寝具対策により改善傾向がある場合(悪化時は受診)
予防のポイント

掃除は拭いてから吸う/1畳30秒を週2回以上、ゆっくり
寝具は週1回以上洗濯+乾燥後に両面へ掃除機/防ダニカバー常用
室内湿度は60%以下(可能なら45〜55%)/1日数回換気
空気清浄機は適用床面積に余裕のある機種を連続運転/フィルター管理
入浴はぬるめ・短時間/汗は早めに洗い流し即保湿
ペットは寝室同室を避ける(難しければ寝具だけでも分離)

FAQ

Q1. ハウスダストと花粉症はどう違いますか?
A1. 花粉症は春・秋など季節に一致して悪化しやすく、ハウスダストは年中続き、寝具や室内環境の影響を受けます。

Q2. 家での掃除はどのくらいが目安ですか?
A2. 1畳あたり30秒以上を週2回以上、拭いてからゆっくり吸うのが基本。寝具は週1回以上洗い、乾燥後に両面へ掃除機を。

Q3. どんな検査で原因がわかりますか?
A3. 問診・視診に加え、特異的IgE(ダニ・カビ・動物など)、皮膚プリックテスト、必要に応じてパッチテストや真菌鏡検・培養などで評価します。

Q4. ペットと同じ寝室でも大丈夫?
A4. 症状悪化の要因になりやすいため、同室は避けるのが無難です。難しければ寝具だけでも分離しましょう。

Q5. 市販薬だけで様子を見てもいい?
A5. 軽症なら短期間の対症で様子見もありますが、長引く・再燃する・感染や呼吸器症状があれば受診を。自己判断の長期使用は避けてください。

<参考資料>

新潟薬科大学卒業。筑波大学大学院 公衆衛生学学位プログラム修了(修士)
ウエルシア薬局にて在宅医療マネージャーとして従事し、薬剤師教育のほか、医師やケアマネジャーなど多職種との連携支援に注力。在宅医療の現場における実践的な薬学支援体制の構築をリード。2023年より株式会社アスト執行役員に就任。薬剤師業務に加え、管理業務、人材採用、営業企画、経営企画まで幅広い領域を担当し、事業の成長と組織づくりに貢献している。さらに、株式会社Genonの医療チームメンバーとして、オンライン服薬指導の提供とその品質改善にも取り組むとともに、医療・薬学領域のコンテンツ制作において専門的なアドバイスを行っている。経済産業省主催「始動 Next Innovator 2022」採択、Knot Program 2022 最優秀賞を受賞。

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